カナダって言うと、「多文化」「寛容」「安全」といったキーワードを、この国の価値として思い浮かべる人が多いと勝手に思って今う。
ところが、その前提を揺さぶるような出来事がロンドン(オンタリオ)で続けて起きているそうです。
先日、街の中心部近くにあるウォートリー・ロード陸橋で、白人至上主義の思想を掲げるグループがデモ行進を行なったって言うじゃないですか!
その後CTV Newsでも同様の映像と証言が報道されたんです。
映像はいずれも、黒い制服のような服装に身を包み、顔を覆った30名ほどの集団が陸橋の上に整列。
『REMIGRATION NOW(再移住を今すぐ)』と書かれたバナーを掲げている様子を捉えています。
「Remigration」が意味するもの
“remigration”という言葉、ご存知ですか?
「非白人の大量追放」を正当化する、極右思想のキーワードです。
専門家や反ヘイト団体は、これを「民族浄化を婉曲化した概念」と指摘しています。
今回映像に映ったデモは、白人ナショナリスト組織「Second Sons Canada」が関与しているんだとか。
RCMPが「過激な民兵的組織」と位置づけた「Diagolon」と人物的なつながりがあることでも知られています。
こうした団体は顔や特徴を隠し、軍隊風の演出で公開の圧力をかける手法を用いる傾向があります。
住民の証言「これは対話ではなく威嚇だ」
CTV Newsの視聴者であるDaveさんは、Horton Streetのアンダーパスを車で走行中、ダッシュカムでこのデモを撮影しました。
彼はこう語っています。
彼らが主張を持つのは自由。でも公共の場で、制服、マスク、黒装束、そして『白人以外は出ていけ』という意味のバナーを掲げるのは、対話ではなく威嚇そのものだ。
強い言葉ですが、それほど衝撃的な光景だったとアテシは想像出来ます。
警察の対応と“20〜30分の静かなデモ”という現実
ロンドン警察は事件を把握しており、20〜30分ほどで解散したと発表しています。
暴力行為は確認されず、逮捕者も出ていません。
とはいえ、「犯罪じゃないから問題がない」では済まされないって問題でもない気がします。
南オンタリオで拡大する“アクティブクラブ”
近年、白人至上主義系の「アクティブクラブ」が南オンタリオを中心に勢力を伸ばしています。
SNSを通じて同じ思想の人間が簡単に結びつけるようになり、以前とは比べ物にならない速度で組織化が進んでいると専門家は警鐘を鳴らしています。
カナダ反ヘイトネットワーク(CAHN)は、これらの団体が現在「現代カナダ史上最大規模」の組織力を持つようになっていると分析しています。
歴史の記憶と重なる恐怖
最初の報道で取材に応じた別の住民も、こう語っています。
これはナチスを思い出させる。家族は占領下オランダで苦しんだ。こんなものは見たくなかった。
人々の個人的な歴史、戦争の記憶を呼び起こすような行動が、カナダの街中で行われているという現実に胸が痛みます。
多文化社会の揺らぎと、私たちが抱える不安
この一連の出来事は、決して遠いどこかの異常事態じゃない。
アテシが生活するカナダの都市で、実際に起きていること。
移住者やマイノリティのコミュニティからすれば、こうした動きは自分に直接関係する恐怖・問題としてしか考えられない。
多文化社会は、単に制度だけで維持されるものではなく、人々の意識や行動によって支えられて初めて成り立つ。
だからこそ、こうした過激思想を「見なかったこと」にせず、社会全体がしっかりと対峙することも大切だと頭では理解出来るんですが・・・
まとめ
ロンドンで起きた二つのデモ報道は、単なる局地的事件ではなく、広がりつつある潮流を映し出していると思います。
とはいえ、これを許容する社会だというかというと、決してそうであって欲しくない。
むしろ、多くの市民は強い恐怖と拒絶の感情を共有しているはずです。
多文化を土台とするカナダは、まだ簡単に壊れたりはしない。
でも、何もせずにいれば傷ついていく。
そう感じさせられるニュースでした。





コメント
コメント一覧 (2件)
なんだか嫌なニュース。
ロンドンはこんな行動が起きる程、どうにかなっちゃてるんでしょうか?
どうなっていても許容できる行動ではありませんけど。
Giroさん、こんにちは〜❣️
今日もコメント有難うございます🙏
それが、オンタリオ州だけでなくてBCでも似たようなニュースが出ているんですよ。
カナダが段々とアメリカになって来ている実感をしています。