カナダの市民権について新しいルールが施行されたってニュースを読んだのでちょっとまとめてみました。
2025年12月15日、カナダの市民権ルールが正式に変更されました。
今回の改正は、特に「親も子も海外生まれ」という家庭にとって、長年放置されてきた問題を修正する内容になっています。
その中心にあるのが、「第一世代制限」と呼ばれるルールです。
第一世代制限とは何だったのか
2009年以降、カナダでは次のような仕組みが導入されていました。
- カナダ国内で生まれた、または帰化したカナダ市民
→ 海外で生まれた子どもに市民権を引き継げる - しかし
海外で生まれたカナダ市民がさらに海外で生まれた子どもには
→ 原則として市民権を引き継げない
これが「第一世代制限」と呼ばれるルールです。
問題だったのは、このルールがあまりにも機械的だったことだそうです。
親がどれだけ長くカナダに住んでいたか、どれだけカナダ社会に根付いていたか、そういった事情は一切考慮されなかったせいで多くの人がカナダの市民権を失ったそうです。
例えば、
- 幼少期からカナダで育ち
- 学校に通い
- 働き
- 税金を払い
- 生活の拠点も完全にカナダ
それでも親の「出生地が海外」という理由だけで、海外滞在中に生まれた子どもには市民権を渡すことが出来ませんでした。
「Lost Canadians」はどうやって生まれたのか
この問題は、今回が初めてではないそうです。
カナダの市民権法は1947年に制定されましたが、当時の法律には多くの欠陥もあったそうです。
その結果、本来ならカナダ人として扱われるべき人たちが、
- 市民権を失った
- そもそも与えられなかった
という事態が長年続いていた。
たとえば、
- カナダ人の母と外国人の父の間に海外で生まれた子ども
(当時は父親の国籍が優先されるケースが多かった) - 子どもの頃に親と一緒に海外へ移住し、知らないうちに市民権を喪失していた人
- 登録や申請の期限を過ぎたことで、市民権を失った人
こうした人たちは後に「Lost Canadians」と呼ばれるようになりました。
2009年と2015年の法改正によって、約2万人が市民権を回復しますが、皮肉なことに、その2009年改正で新たに生まれた問題が、第一世代制限でした。
今回の改正で何が変わったのか
2025年に施行された Bill C-3 は、この第一世代制限を修正するためのものとして施行されました。
まずは、過去の救済。
これまで第一世代制限のせいで市民権を得られなかった人は、条件を満たせば市民権の証明を申請できるようになった。
そして、これから生まれる子どもについての新ルール。
この点は誤解されやすいので、はっきり整理しておきましょう。
「新しいルールでは、カナダ国外で生まれ、または養子縁組されたカナダ人の親であっても、
その親が出産または養子縁組以前に、合計で3年以上カナダに居住していたことを証明できれば、
海外で生まれた子どもに市民権を引き継ぐことができます。
ただし、単に3年以上カナダに住んでいたという理由だけで市民権が与えられるわけではありません。
親自身がすでにカナダ市民であることが前提です。」
つまり、この3年居住要件は、非市民が市民権を得るための新しい近道ではありません。
海外生まれのカナダ市民が、さらに海外で生まれた次の世代に市民権を引き継ぐための、「カナダとの実質的なつながり」を示す条件になります。
制度がようやく現実に追いついた
留学、海外赴任、国際結婚。
今の時代、国境を越えて生活することは珍しくありません。
それにもかかわらず、出生地だけで国籍を切り分ける制度は、長い間現実とズレたままだった。
今回の改正は完璧ではないかも知れません。
でも、少なくとも「家族の実態」を見ようとした修正ではあるのは確かです。
制度が、ようやく現実に追いついた。
そんな印象を受ける改正だと思います。
日本も現実と法律の狭間が広がっている部分は、国民の現実の生活に沿った法律へ正していく勇気を持って欲しいそう思いました。
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