国境南の国との関税摩擦。
カナダも大きなダメージを受けています。
一番大きな影響を受けているのは自動車産業だと言われています。
今日はその自動車産業のニュースから一つ紹介したいと思います。
「笑顔で奪われていく」カナダの現実──Stellantisの決断が示すもの
カナダの自動車産業に、また冷たい風が吹いています。
BramptonのStellantis工場で製造されていたJeep Compassの生産が、アメリカ・イリノイ州へ移されることが決まりました。
カナダでは一時的に停止していた生産を再開する予定でしたが、同社は代わりに6億ドルを投じて米国工場を拡張し、3300人の新しい雇用を生むと発表。
Bramptonで働く約3,000人の従業員と、その家族にとっては悪夢のようなニュースです。
トランプ関税と「脅し」に屈した構図
Brampton市長のパトリック・ブラウン氏は、この動きを「カナダ全体の自動車産業への警告」と表現しました。
トランプ政権の関税政策で被害を受けるのは、ただの数字じゃない。
現実の家族たちなんです。
そして、これはBramptonだけの問題じゃない。カナダ中で同じことが起こる可能性がある。
強い言葉だと思いました。
でも、Stellantisもトランプ政権の圧力を受けてアメリカに“逃げた”と見られています。
市長は「連邦・州政府がこの企業に多額の補助金を与えてきたのに、義務を果たさないなら返金を求めるべき」とまで言及しています。
要するに――カナダ政府は、企業にも米国にも「舐められている」と感じているのです。
政府の反応──「支援」ではなく「防衛」を
首相マーク・カーニー氏は「カナダ政府は常に労働者の味方だ」と述べ、オンタリオ州政府や労組Uniforと共に「保護策」を検討中としています。
しかし、それはあくまで“被害を受けた後”の支援にすぎない。
オンタリオ州のダグ・フォード首相も「失望している」「あらゆる手を尽くす」と言うものの、どちらの声明にも「米国にどう対抗するか」という明確な戦略が見えません。
「笑顔で奪われていく」──ブラウン市長の本音
市長の言葉が最も印象的でした。
私たちは笑顔で、彼らに雇用を奪われるわけにはいかない。
アメリカの一方的な政策で、雇用も産業も簡単に吸い上げられる。
それをただ見送るしかないのが、いまのカナダの現実です。
Uniforのラナ・ペイン代表も怒りを隠さず、次の様に語っています。
私たちは最初から警告してきた。闘わなければ、こうなると。トランプははっきり言っていた。カナダの自動車雇用を狙うと。
それでも、カナダには“武器”がある?
ブラウン市長は「カナダには多くの交渉カードがある」とも指摘しています。
実際、カナダはアメリカにとって最大の貿易相手国。
それでも現実には、「穏健」「丁寧」「協調的」な姿勢が優先されすぎているように見えます。
けれど今こそ、「本当に守りたいものは何なのか?」を問い直す時ではないでしょうか。
雇用か、信頼か、経済主権か。
この問題は、単なる自動車工場の話ではなく、カナダという国の交渉力の試金石です。
個人的な意見ですが
自動車産業に勤めているわけではありませんが、これは本当に痛いニュースです。
カナダは誠実で協調的な国。
でもその優しさが時に“弱さ”と見られてしまう。
3,000人の雇用って簡単に言うけど、アテシの住んでいる町でも人口が4,000人。
小さな町一つがなくなるのと等しいって見たらやっぱり大きな影響です。
いじめっ子に屈している様に思えて本当に悔しい限り。
「もっと強いカナダ」を期待する声が、今こそ必要なんだと思います。
コメント
コメント一覧 (2件)
これ、あの人が大統領に決まった時に、カナダはやっぱりプライド高いなと思ったんです。
逆にメキシコは政治は水面下で交渉を開始して、強く出る事もなく、完全譲歩する訳でもなく、一般市民はBuy Mexican運動を起こす事もなく、とてもしたたかな対応を今もしています。
これって有史以来、大国から利用され続けてきた国の処世術なのかなって思ってます。
Giroさん、こんにちは〜❣️
今日もコメント有難うございます🙏
『プライド高い』って合っていると思いますね。
後は、ブックスマートでストリートスマートじゃない。
今は、何方かと言えばストリートスマートじゃないと戦えない。
そんな感じしています。