今日はケベック州の政治についてちょっと真面目な話。
1月14日にフランソワ・ルゴーがCAQ党首兼州首相の座を辞任したというニュースは、多くのケベック人に衝撃を与えました。
カナダ第2の州でありフランス語圏の中心でもあるケベック。
今年10月5日に州議会選挙が予定されています。
選挙まで残り9か月足らずとなるこの時期に辞任が表明されたことで、与党CAQだけでなく州政全体が揺れ動いています。
今日は、辞任の背景、後継候補、野党や他党の動き、さらには連邦政治との比較、そしてアテシ自身の見解をまとめたいと思います。
ルゴー辞任の背景とCAQの現状
ルゴーは2011年にCAQを創設し、2018年と2022年の州選挙で連続して過半数を獲得するなど、党の顔として強い求心力を発揮してきました。
しかしここ数年、医師給与法案やオンライン免許更新ポータルの費用超過、宗教的シンボル着用を制限する法律など、物議を醸す政策が続いています。
それに伴い支持率は急落し、国際的な報道でも「ここ数年で最も不人気な州首相」だと評されているそうです。
1月14日の記者会見で、ルゴーは「多くのケベック人が変化を求めている」と認めました。
自身が辞任することで党と州の将来のために新しいリーダーに道を譲るとも語っています。
彼は後継者が決まるまで州首相の職に留まり続ける意向を表明。
10月5日の州選までに新しいCAQ党首が選出されないといけません。
CAQは医師との対立や政策への批判から支持率が低下し、最新のレジャー社の世論調査では支持率が19%前後に落ち込んでいると報じられています。
一方で、州内の分離独立派政党であるパルティ・ケベコワ(PQ)が35%程度の支持を獲得。
第二党である自由党(PLQ)を大きく引き離しているとされて言われています。
選挙までにCAQが支持率を回復できなければ、これまで多数派を維持してきた議席の多くを失う可能性があるとも分析されています。(theguardian.com)
後継候補の顔ぶれ
CAQにはまだ正式な後継者は発表されていません。
ただ、その中でもいくつかの有力候補の名前が挙がっています。
世論調査会社SOMが挙げた筆頭候補には以下のような人物がいます:
- シモン・ジョラン=バレット(司法大臣) – 若くカリスマ性のある弁護士出身の大臣で、党内保守派からの支持が厚い。
- ソニア・ルベル(教育大臣) – 司法長官経験も持ち、ルゴー本人が政界入りを説得した過去がある。政策運営能力への評価が高い。
- クリスチャン・デュベ(前保健大臣) – 医師給与法案の批判を受けて辞任したものの、財界出身で財政に強い。
- ジュヌヴィエーヴ・ギルボ(市町村担当相、前副首相) – 女性リーダー待望論を背景に支持を集める可能性がある。
- クリスティーヌ・フレシェット(経済・イノベーション・エネルギー大臣)と ベルナール・ドランビル(環境大臣) – 経済再生や環境問題で実績を上げており、党内若手の象徴となりうる。
CAQは一度も党首選挙を経験したことがないらしく、党の規約も不明確なんだそうです。(ca.yahoo.com)
今後どのようにリーダーを選出するのかは注視したいですね。
PQとPLQ:野党の動きと世論の行方
PQの躍進と独立問題
ルゴー辞任後の空白を最も有利に利用しているのがPQですね。
最新のレジャー社の世論調査では、PQが35%前後の支持を得ていて、CAQを大きく引き離しています。
PQの党首ポール・サン=ピエール・プラモンドンは、政権獲得後にケベックの独立を問う3回目の住民投票を2030年までに実施することを公約しています。
でもね、過去の1980年、1995年の住民投票ではいずれも独立案が否決ですよ。
最新の調査でも独立賛成は36%程度にとどまります。
実際、AP通信の取材に応じたマギル大学のダニエル・ベラン教授は、ルゴーは最も不人気な州首相だけど、独立運動も同じくらい不人気だって言っています。(myjournalcourrier.com)
若者の間では独立支持が急激に高まっているという調査結果もあるらしくてちょっと不安。
モントリオールのCityNewsによれば、18〜34歳のほぼ半数がケベックの独立に賛成しており、前年比で約20ポイント上昇しているんだそうです。(montreal.citynews.ca)
同じ調査では、CAQの支持率が17%に下落し、自由党とPQの二大対決になる可能性もあると分析されているみたいです。
PLQと他党の状況
自由党(PLQ)は昨年末に党首のパブロ・ロドリゲスが党内の票買収疑惑により辞任したばかり。
こちらも新しいリーダーを選ばなければならない状況。
かつてケベック政界の二大政党の一角を担っていたPLQです。
長期政権による疲弊と不祥事により支持を大きく失ってしまった。
分離独立への反対を掲げる明確な立場から、PQが独立路線を強調すればするほどその反動票へ期待が寄せられます。
今年のリーダー選び次第では支持回復の余地は全くないわけではなさそうです。
連邦政治から学ぶべき教訓
CAQがどのような人物を選び、どのような方向性を打ち出すかによって、10月の選挙の行方は大きく変わると思います。
その好例が連邦政治。
2024年末から2025年初頭にかけて、保守党のピエール・ポワリエーヴルが世論調査で大差をつけていました。
でも、2025年4月の総選挙では、辞任したジャスティン・トルドーの後継として就任したマーク・カーニー率いる自由党が逆転勝利。
年初には保守党が25ポイントのリードを持っていたにもかかわらず、選挙ではカーニー新首相が率いる自由党が政権を維持する結果になったんです。
この劇的な展開は、リーダーの交代が政治状況を根本的に変えれるいい例だと思います。
アテシ的な視点:安定した連立政権を望む
政治の不安定さはやっぱり経済に直結すると思っています。
PQが支持を伸ばしている背景には、CAQへの失望があるだけ。
州民の多くが、独立そのものへの支持をしていないと見ています。
現に最新調査では、若者を除く多くの世代が独立に否定的です。
1995年のレファレンダム(住民投票)では独立賛成はごく僅差ですたが、否決されています。
独立を前面に掲げるPQが単独で政権を取ることになれば、経済と政治の不確実性が増し、国内外の投資が慎重になることは当然予想されます。
アテシ個人的には、CAQと自由党が支持率を立て直し、将来的に連立政権を形成する可能性を模索して欲しいと考えています。
ルゴー辞任がその第一歩で、新しいリーダーが国民の不満に耳を傾け、分裂ではなく連帯を目指して欲しい。
そしてPQの独立路線は失踪して欲しい。
選挙までの残り9か月の間に、各党がどのように有権者にアプローチするのか注視したいと思います。
おわりに
フランソワ・ルゴーの辞任は、2018年から続いたCAQ主導の時代に終止符を打つものになったと思います。
同時に、ケベック州の政治に大きな節目になったとも思います。
今後数か月でCAQとPLQの党首選が行われ、PQは独立を掲げて選挙を戦うことになりそうです。
政治は一夜にして変わることがある——連邦選挙がいい例だと思っています。
ケベック州の有権者にとって、今年の選挙は単なる政権交代ではなく、州の将来を左右する重要な選択になると思っています。





コメント