ケベック州議会の選挙も後1年を切りました。
現政権(CAQ)は、殆どの議席を失う予測。
それに打って変わって支持率を上げているのが、ケベック州の独立を一番に掲げている『Parti Quebeqois (PQ)』です。
今日はそのParti Québécois(PQ)党首Paul St-Pierre Plamondonがほざいた「独立したケベックは独自通貨を作る」という発言についてちょっと書いてみたいと思います。
若干長いですがお付き合いよろしくお願いします。
いよいよBlue Bookの“ファンタジー編”が本格公開という空気すらあります。
独自通貨を「10年でできる」とあまりにも軽々しく言ってしまうあたり、さすがにツッコミも追いつかないし。
そもそも、一つの州が独立して、新しい通貨を作り、完全に運用を安定させるまでに10年で済む保証なんてどこにもない。
むしろ政治も経済も揺れまくる時期になるのは目に見えてるし、為替市場は容赦なく現実を突きつけてくるはず。
通貨創設は“ボタン一つ”じゃない
まず基本の話として、独自通貨を作るなら最低でも以下が必要になると想像しています。
- 中央銀行の設立
- 通貨発行ルールと金融政策フレームワークの構築
- 財政の信頼性確保
- 国際信用格付け
- 外貨準備の確保
- 市場のボラティリティ対応
- 通貨移行のロードマップと段階的導入
これら全部、10年で“安定”まで持っていくのは極めて難しいとされています。
(※ここは一般的な経済学の知識。専門家の間にも幅はあるけど、私は“かなり厳しい”側だと考えてる)
特に「経済がその10年間ずっと安定している前提」で話が進められているのが完全に謎。
そんな都合よく経済が大人しく言うことを聞くなら、どの国も苦労してないですよね。
PQの説明には“前提の豪快な省略”が多すぎる
PQは「連邦政府やCAQがケベックを停滞させている」と語り、独立こそ唯一の前進だと主張。
その熱意は否定しないけど、問題は経済の現実を語る部分が妙にふわっとしていませんか?
- 通貨移行は10年かける
- 恐怖キャンペーンに惑わされるな
- 連邦(支持)派の批判は“根拠がない”
こう言うけど、根拠がないのはどっちなのかという話で。。。
「通貨は10年で安定する」って誰が言ったんだろう
経済学的に『10年で新通貨が市場に信頼され、国際的に安定する』という論は、少なくとも主流派では聞かないと自分は考えています。
一応、私は専門家じゃないので、ここからは確信のない部分ですのでその点留意してください。
- 新通貨の信頼性は発行国の財政健全性と政治安定性に依存する
- 独立直後は政治・財政が不安定になりやすい
- 国際市場は新通貨に非常に厳しい
- 格付けが低ければ為替が乱高下し、金利も高騰する
こういう一般論を考えると、10年で“安定した通貨”に育つ可能性はかなり低いと感じます。
もちろん、奇跡的に上手くいくシナリオもゼロじゃない。
でもそれはあまりにも『理想個体のケベックが完璧に走り切った場合』の話。
夢を見るのは自由だけど、国民を巻き込むなら現実も語らないとでしょ。
反対派の言う「経済的混乱」はむしろ普通の懸念
ケベック・リベラル党はこの通貨計画について
- 「ナンセンス」
- 「経済協定から外れ、かつNATOからも外れる可能性」
- 「前例のない経済的不安定」
- 「通貨政策はおとぎ話じゃない」
とバッサリ言ってるけど、正直この反応が普通だと思います。
新通貨を作るということは、カナダの貨幣・金融政策の安全網から出るということ。
市場は、新通貨に対して“情”なんてものを一切持っていない。
結論:PQの通貨プランは理想主義が過ぎる
PQは
- 連邦がケベックを押さえつけている
- 独立すれば経済的に良くなる
- 通貨も10年で作れる
という希望の押し付けを語っている。
でも私は、これがどうしても夢物語で民を惑わせているだけとしか考えられないんです。
政治は夢を語ることも大事だけど、通貨と経済は現実しか見てくれない。
独立通貨を作ること自体は否定しない。
夢や理想はあっていい。
でもその過程で発生する痛みや不確実性を隠したまま「大丈夫」と言い切るのは違うと思います。
国を動かしたいなら、夢よりもまず現実の説明は不可欠です。




コメント
コメント一覧 (2件)
昔読んだ、井上ひさしの小説、吉里吉里人。
金本位政策を取る国の通貨が、今の時代には一番強かったりするのかなとか思ったりして(笑)
Giroさん、こんにちは〜❣️
コメントいつも感謝しています🙇
ウチの会社は20年勤務した人には金のコインをプレゼントしています。
コイン1つもらっても大したお金にはならないけどあるとやっぱり違いますよねー